蕨 歴史遺産ツアー

2018年4月22日(日)に蕨市の歴史遺産を巡るツアーを行いました。ここでは遺産そのものの紹介よりも、ツアーで塾生たちが何を考えたか!を報告します。遺産の紹介は市役所のページに詳しく掲載されています。


蕨遺産めぐりツアー」実施報告

平成30年4月22日(日)午前9時半から埼玉県蕨市の「笑楽日塾」(塾長:荒井貞夫)が同塾蕨遺産発掘グループ(メンバー:先崎、星、幸野)の発意による「蕨遺産めぐりツアー」を挙行し、塾生等10名がJR 蕨駅西口の「蕨驛開設記念碑」を皮切りに、午後1時過ぎ、蕨城址公園内「青春の碑」前で解散するまで、予定の19 ヵ所+αを徒歩で回りました。ガイドをしていただいたのは、蕨市在住の清藤孝(せいどう・たかし)氏。有資格者であり、蕨について博覧強記!名ガイドでした。

めぐった場所は、次のとおりです(若干長くなりますが記録として列挙します。)
① 蕨驛開設記念碑、
② 駅前通りの長泉院梵鐘(直接見ることはできないが、太平洋戦争時に供出を
 免除された鐘)
③ 用水堀の跡(今はただの小路にしか見えないが、蕨宿は用水堀がめぐらされて
 いて、その水は「見沼代用水」の流れだった由)
④ 観音堂(③の用水堀跡の先に近隣の住民が慈しみ守っている小さな祠)
⑤ 玄蕃稲荷(蕨宿の発展に功績のあった石井氏の屋敷神)
⑥ 中山道(言わずもがな、東海道と並ぶ、江戸と京を結ぶ大幹線道路;五街道の
 ひとつ)
⑦ 蕨市立歴史民俗資料館分館(渋沢栄一を崇拝、研究した4代目元市長の
 金子吉衛氏旧宅;入場無料で畳の上にも上がって見学可能;渋沢栄一自筆の
 扁額「進徳脩業」が目を引くほか、明治20年代の家具等が展示)、
⑧ 蕨町道路元標(大正9 年の道路法で置かれたが、昭和27年の新道路法で役割を
 終えたもの)
⑨ 蕨宿本陣跡、
⑩ 歴史民俗資料館(蕨宿のジオラマは精巧に作られており、蕨のガイドにとって
 自慢の展示物で他にあまり見ない由)
⑪ 蕨郷開発の地
⑫ 中山道沿いの鈴木薬局(昭和6年建築の木造家屋で今も現役;道路と平行では
 なく、斜めに角度をつけて家屋が建築されているのは、当時大八車が玄関に
 停められるようにとの配慮があった由)
⑬ 中山道ふれあい広場(北町交番横にある、江戸時代の上の木戸跡)
⑭ 蕨宿徳丸邸の跳ね橋(蕨宿に特徴的な宿全体が用水堀に囲まれていた事情で、
 その上に橋が掛けられていたが、夜はそれを跳ね上げる仕組みになっていた
 もの;宿場の外から侵入できないため、盗賊防止の目的もあった由)
⑮ 金亀山極楽寺三学院;総門前馬頭観音塔、目疾地蔵、子育て地蔵(特に、
 目疾地蔵は印象的;今も、お地蔵さんの目に味噌を塗ると眼病が良くなる
 との民間信仰が生きており、「あとの人のために、味噌を塗り過ぎないで
 ください」との注意書に驚嘆)
⑯ 三学院(徳川家康公から寺領20 石の朱印状が与えられた格式の高い寺院;
 仁王門、三重塔、弁天堂、仏舎利塔など見所多数)
⑰ 一本杉塚(16世紀初め、渋川氏の蕨城が川越の上杉氏に攻略され落城;
 この地に渋川氏の遺骸や兜、鎧等が埋められ、その目標として‘一本の杉’が
 植えられた由)
⑱ 和楽備神社(祭神は誉田別命〈ほむだわけのみこと〉;室町時代に蕨城主の
 渋川氏が八幡大神を勧請したと伝わる;面白いことに、通常神社の屋根に
 見られる千木及び鰹木がない。)
⑲ 蕨城址(蕨城は南北朝時代に足利一門の渋川氏によって築城;江戸時代には、
 徳川家の鷹狩り用の御殿として利用された由)
⑳ 蕨城址公園;成年式発祥の地、青春の碑(特に、「青春の碑」はサミュエル・
 ウルマンが書いた「青春」の件を記した碑;翻訳を蕨出身の岡田義夫氏が
 手がけたとの所縁あり。マッカーサー元帥や松下幸之助が座右の銘として有名)

以上、笑楽日塾にとって初の蕨遺産発掘ツアーについて、内容を紹介しましたが、
本ツアーを発意した我々蕨遺産発掘グループ(先崎、星、幸野)としては、
これを糧に今後さらに蕨市内の遺産ないしは裏遺産に日が当たるよう精進して
いきたいと決意を新たにした次第です。

とにもかくにもアクティブ・シニアは元気でなければいけません。当日参加した
塾生は、特に真夏日となった苛酷な天候の下、3時間半歩きっぱなしでしたが、
へばった人は誰一人おりません。地元蕨に生まれ育ち70年超の方もいれば、住んで
数十年だけれども転勤で蕨を知らない方や、私のように蕨に転入してまだ1年半の
若輩者まで、参加した塾生はいろいろでしたが、このように改めてガイドをして
いただきながら街めぐりをすると、日本一のコンパクトシティー蕨市にも立派な
遺産があるのではないか等々、いろいろな発見、気づきがあったようです。
もちろん、私にとっては全て新鮮でした。

なお、解散前、青春の碑の前で荒井貞夫塾長が、このウルマンの詩は自分にとって
まさに座右の銘であるとして、声高らかに暗唱されたのは実に印象的かつ感動的
でした!

「青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ」
「年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる」

(了)

 

蕨遺産ツアーめぐり道